『相対評価』と『絶対評価』…重視すべきはどっち?

『絶対評価』『相対評価』重視すべきは?

 

“相対評価偏重”は従業員のやる気をそぎ落とします!

・“絶対評価”と“相対評価”

 評価制度には大まかに“絶対評価”と呼ばれる評価手法と、“相対評価”と呼ばれる評価手法の2つに分かれます。。

 絶対評価とは、会社が求める能力が備わっているか、評価項目となっていることが達成できたかどうかという事を単純に評価する方法です。

 相対評価とは、評価項目となっていることが達成できたかどうかということより、社内の他の社員と比較し、各社員の能力や達成度を序列を付けて評価する制度です。

 通常の人事評価制度の運営では、この絶対評価と相対評価の考え方の双方を取り入れるのが一般的です。会社が求める能力や成果の達成度を評価の着眼点に沿って検証(絶対評価)した上で、各従業員同士を比較して、5段階評価(評価の高い順からS,A,B,C,D)でどの評価に序列付けるのかという作業をして行くという方法が一般的に普及している人事評価制度ではないでしょうか?

 

 ・相対評価重視の弊害

 ここで気を付けなければならないのは、『(5段階の真ん中の)B評価を全体の平均としなければならない』『(一番いい)S評価はめったに与えない』という誤った固定観念です。

 こういった固定観念の根底にある考え方としては、2:6:2の法則とよばれる定説で、会社または法人内においては『できる従業員』が全体の2割、『可もなく不可もない従業員』が全体の6割、『戦力として機能しない従業員』が全体の2割で構成されるという考え方です。この考え方を相対評価の枠に当てはめてしまい、『各評語での人数枠ありき』で人事制度を運用している企業・法人さんも多いのではないでしょうか?

 この2:6:2の法則を相対評価の枠に当てはめ、真ん中のB評価は全体の60%、A評価とC評価は全体の15%、一番いいS評価と一番悪いD評価を全体の5%にして従業員を序列付けるようなやり方をしている企業・法人が多いように見受けられます。(多少のパーセンテージの誤差はあろうかと思いますが…)

 こういった運用をしていると、以下の例のような弊害が発生してしまいます。

 例えば、製造業の製造工程作業で歩留まり(不良率)を評価の着眼点とした場合に、目標を現行15%の不良率を5%以下に改善するということに設定します。社員の山本さんが評価期間中の6ヶ月の不良率が2%、社員の西山さんの同期間中の不良率が3%、社員の田中さんが同期間中の不良率が5%であったとしましょう。

 本来であれば、山本さん、西山さん、田中さん3名とも、現行の不良率15%を飛躍的に改善した上に目標をクリアしているので、3人全員にS評価を出して然るべきです。これが上記のような相対評価の考え方で、各評定の割合を決めてしまい、S評価やA評価の人数枠の制限があれば、山本さん、西山さんはともかく、田中さんは頑張って結果を出しても、真ん中のB評価以下の評定にしかなり得ない可能性もあるわけです。これでは現行の評価制度の下でいくら頑張っても、よい評価に繋がらないということを全従業員に知らしめているということに他なりません。

 基本的な考え方として企業は、市場での競合他社との戦いに打ち勝つことを念頭に持たなければなりません。社内での社員同士の切磋琢磨ももちろん必要でしょうが、あくまで競争相手は社外にあるはずです。弊害が出る可能性がある相対評価で無用に社員同士の競争をあおる必要などあるのでしょうか?

これこそ“社員同士が協力しない”、“個人主義の浸透”等の悪い社内風土が形成される要因になります。

 各評定の割合や人数枠など考える前にしっかりと達成したこと、結果を出したことを評価する体制、つまり“絶対評価”を優先した評価体制を構築するべきなのです。

 

 ・絶対評価は全社員(全従業員)のパフォーマンスの底上げに繋がります!!

 当事務所が設計する『人を育てる人事制度』では、“絶対評価”を優先した設計で、制度導入前の従業員の能力やパフォーマンスの現状平均値を真ん中より一つしたの評定である“C評価”に合わせるように指導させていただいています。

 制度を運用することにより、現状より一つ上の評定である真ん中の『B評価』が従業員の平均になってくれば、全体のパフォーマンスの底上げになりますし、先ほどの歩留まり率の改善の例のように、飛躍的に改善した成果を達成したようなケースであれば、相対評価にあるような割合や人数枠を気にせずに『S評価』も出し惜しみなく出せる仕組みに設計しています。

 そもそも、導入前の平均が『C評価』で設計しているわけですから、これが『S評価』や『A評価』をもらう従業員が複数出てくれば、職場もいい意味で活気付き、全社的にも業績の向上が肌で感じられるようになってくるのではないでしょうか?

・絶対評価中心では人件費上昇に歯止めがかけれない?

 相対評価では、各評定の割合や人数枠を決めることにより、昇給額や賞与額を予算の範囲内でコントロールすることは理論上は容易になります。相対評価の考え方が広まったのは、真ん中のB評価を平均としたり、一番いいS評価をむやみに出さないことによって、昇給や賞与支給の際に人件費が予算を超えることへの歯止めの意味もあったんであろうと思います。

 従来の昇給額の決定は賃金テーブル上で年齢給と能力給の2つの梯子(ダブルラダー)で設計され、年齢給は年齢の上昇(または在職期間の年数)により自動的に昇給するもの、能力給は各等級に号棒と給与ピッチが設定されており、号棒と人事評価が関連付けられて昇給額が決まるという制度が多いように思われます。

 こういった従来の給与テーブル形式では、年功制の概念が色濃く残り、会社の業績や人件費予算が全く考慮されずに、自動的に昇給させざるを得ない状況が出来上がってしまいます。よって、会社側が従業員の給与の上昇に歯止めをかけるために、“一番よいS評価はめったに与えない”、あるいは“S評価、A評価の割合や人数枠を決めておく”等の相対評価の考え方を持ち込まざるを得なかったのでしょう。

 このように評価の時期ごとに人件費予算との兼ね合いを考え、各評定の割合や人数枠を決めていくことも中小企業や中堅法人にとっては結構煩雑な作業で負担がかかると思われますがいかがでしょうか?

 絶対評価を用いる評価制度では、こういった人件費の上昇に歯止めはかけられないでしょうか?

当事務所が提供する『人を育てる人事制度』では、絶対評価重視の評価制度を構築しますが、上記のような従来の賃金テーブル形式、つまり相対評価を使っての人件費調整が必要となるような賃金制度設計は行いません。

 もちろん、利益あっての昇給や賞与の支給ですから、人件費を年功的に毎年毎年増加させる従来の手法を排除し、経営を行っていく上での許容範囲内での人件費予算を各従業員の評価に基づき、公正、公平に分配する仕組みを取り入れております。

 人権費予算の全体のパイを頑張った従業員、成果を出した従業員からしっかりと優遇していく仕組みですので、この仕組みを取り入れれば、年々の人件費の上昇が経営を圧迫する心配はなくなります。

 相対評価を取り入れ、S評価の『定員枠』を決めて人件費調整をする必要はありません。

 当事務所が導入する『絶対評価主体の人事制度』であれば、利益や業績に関係なく、人件費だけが上昇するというご心配はしていただく必要はございません。

 エクセルVBAのソフトを使いこの仕組みを作っていきます。ソフトのデモが見てみたいという企業様、法人様はご連絡を頂戴すれば、ご覧いただけます。(デモのリクエストに関しては京阪神近郊の事業所様に限定させて下さい。)

 

 『従業員全体の能力の底上げ!』『従業員の努力や能力により公正に処遇!』『人件費が経営を圧迫しない賃金制度設計』という特徴を持つ、当事務所の『人を育てる人事制度』を是非一度ご検討下さい。

こちらのメニューも合わせてご確認下さい。

当事務所が構築のサポートをさせて頂く、“人を育てる”人事制度のご紹介です。

“こんな人事制度は失敗するーその1”として成果主義の人事制度が引き起こす弊害を解説します。

“こんな人事制度は失敗するーその2”として、評価の着眼点の決め方を解説します。

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